学 会 賞 受 賞 |
ごあいさつ |
私こと、 |
ホテルデュシェルブルー 管理栄養士 大木由枝は、日本学術会議登録である日本栄養改善学会で、本年名誉ある学会賞を、日本栄養改善学会学術総会にて、会頭
小林修平氏(元国立健康・栄養研究所所長)より授与されました。 学会賞受賞論文の抜粋は(受賞を記念して第46回日本栄養改善学会学会講演集に掲載された総括論文の一部)は、後記の通りです。 学会賞とは学会規定によると、「栄養改善に関する研究分野において、顕著な功績があり、現在も研究に従事している者」とあり、選考対象となる業績には「学術的又は技術的に特に優れた内容を有し、内外の評価に耐えうるものとする」とあります。 選考は、全国の学会評議委員(国立健康・栄養研究所、国公立及び私立大学教授や大学院、各都道府県の栄養を専門とする技術者、の代表などで構成されます)に、公募として学術集会又は学術誌の中で発表された研究の中から、推薦を仰ぐ事にはじまります。 審査により正式に候補となった者は、学会事務局の規定書類に従い、履歴書、対象となる研究の詳細と研究歴、著書&論文(社会的活動の参考と思います)、対象研究に関係する資料を提出します。 選考委員会の厳粛な審査の上内定となり、学会理事会の決議を以って決定となります。 今まで不可能であると考えられていた、腎不全保存期の患者を対象とした、たんぱく質1日30g基準食の患者に対応できる低たんぱくフランス料理フルコースを、日本で初めて(もしかしたら世界で初めて)開発し、実践で提供している事が受賞の決め手です。 これからも、手作りのフランス料理のホテルの中で、食事療法対応フランス料理を生涯の研究とし、何かの理由で食事制限のある人々に、「豊かな自然の中で食する楽しさをもう一度味わっていただき、生きる喜びを感じていただく。それは治療への意欲を必ず促進する。」との信念で、社会貢献をしてまいります。 |
1999年11月 1日 | ||
ホテル デュシェルブルー | ||
管理栄養士 大 木 由 枝 |
低エネルギーフランス料理実践の場より報告 |
― 第1報〜第6報 総 括 ― |
健康志向対応620kcalフランス料理フルコースより |
食事療法対応疾患別フランス料理フルコースへの研究と実践 |
大 木 由 枝(ホテル デュシェルブルー) |
【目 的】 当ホテルでの健康志向及び食事療法対応フランス料理フルコースの提供は「何かの理由で食事に制限のある人々に、豊かな自然の中で食する楽しさをもう一度味わっていただき、生きる喜びを感じていただく事にある。それは、治療意欲を必ず促進する。」その信念で社会に貢献する事である。 医療技術の進歩と共に慢性疾患と共存する人々は増加し続けその人生は長くなった。延命された人生の質の向上を考え、更に実践する時代である。 食事療法実施者は、行動範囲にある程度の制約を受ける。患者の家族もまた二次的に影響を受け、長期間におよべば両者の関係に精神的ひずみも生まれる事が少なくない。行動の制約の根本にあるものは食事である。 社会に必要なものでも、一般には気づかれていない事もある。近未来を正視し、社会にニーズを創造する事も、そのニーズの誕生と同時に応えられる技術の確立も、学会の使命である。 医療機関外ではあるが、共に患者の快適な社会生活を支えるために、毎年テーマを決めて日本栄養改善学会を通し、実践の場より広くこの食事の必要性を提言する事を目的としている。 |
【結果】 業務店の料理は金銭価値と直接交換される峻厳な立場に存在する。美味しく、美しく、適当なボリュウムで食後充満する満足感のあるものでなければならない。その上「商品」としての品格を供えたものでなければ通用しない。 研究の成果として、移りゆく四季が描く絵画を窓辺に、広いダイニングで至福のひと時を味わう患者が年々増えつづけている。特に腎不全保存期の患者には意義のあるものである。この患者はその厳しい食事制限が重圧となり、安易に透析に移行することを希望したり、大切な命、たった一度の人生を自ら放棄する人も少なくない。生きる喜びを自ら感じ、治療意欲促進につながる貴重な機会となっている。 18年前、病院栄養士の経験の上にフランス料理を学び、低エネルギーフランス料理、食事療法対応フランス料理を通し、おそらく不可能と考えていた1日30g基準の低たんぱくフランス料理フルコース提供に至った。 一連の研究を通し、過酷な1歩を踏み出してみると、不可能と思われる次の1歩が可能となる事を実感した。新たな職域に専門職として進出するには、その職域を開発する者がその正当な職務を社会に明示する必要がある。その任務を遂行するために、この研究を本学会に発表し続けてゆきたい。 |