栄 養 歳 時 記


  2015年
  3月 後 期 

     
 
  策定の方針には下記の言葉が書かれています。

日本人の食事摂取基準は、
健康的な個人並びに集団を対象として、
国民の健康保持・増進、生活習慣病予防のために参照する
エネルギー及び栄養素の摂取基準を示すのもである

個人差を含む集団に対し示される数値は1つです
ご専門でありその道に精通した先生方であつても
膨大な文献を読み解くには多くの時間を要し、
算出には着手した先生方でなければ理解できない
ご苦労がある事を忘れてはならないと思います。

正しく理解し活用しようと心したいものです。

日本人の食事摂取基準2015年版
―推定エネルギー必要量 その4 推定エネルギー必要量―


 3月後期の栄養歳時記は、「日本人の食事摂取基準2015年版 ―推定エネルギー必要量 その4 推定エネルギー必要量-」です。

 お待たせしました。やっと推定エネルギー必要量です。

 エネルギーの指標である推定エネルギー必要量は参考表として示されています。

 なぜ「参考表」なのでしょうか?

 「エネルギー必要量には無視できない個人差が要因として多数存在するため、性・年齢階級・身体活動レベル別に単一の値といて示すのが困難である」との理由です。

 その上で、

  エネルギー必要量の概念は重要であること 
  目標とするBMIが成人に限られていること 
  エネルギー必要量に依存することが知られている栄養素の推定平均必要量の算出に当たってエネルギー必要量の概数が必要になること 

 以上の理由で推定エネルギー必要量を参考表として示したとの解説です。
 
  日本人の食事摂取基準2015年版での推定エネルギー必要量の計算式は成人で、

 [ 推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×参照体重(kg)×身体活動レベル ]

 です。2010年版以前と計算式は変わりません。

 ここで使用される基礎代謝量の数値は、参照体重における基礎代謝量を算出した表の数値が使用されています。

 日本国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために策定された食事基準ですので、厚生労働省のホームページに掲載されている表をコピーし掲載します。著作の問題はないでしょう。

 もっと詳しく知りたい方は下記URLへアプローチしてください。

 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/syokuji_kijyun.html


 


 参照体重における基礎代謝量はつぎの表として示されています。
 


 参考表として表されている推定エネルギー必要量の数式に使用されている参照体位は、つぎの表として掲載されています。
 参照体位とは2010年版まで基準体重という名称でしたが、望ましい体重ではなく日本人の平均的な体位であることから名称が変わりました。

 

 基礎代謝基準値は参照体位において推定値と実測値が一致するように決定されています。したがって、算出されている基礎代謝量は、基準から大きく外れた体位の人は基礎代謝基準値の推定誤差が大きくなると解説されています。
 結果、過大評価あるいは過小評価した基礎代謝量に身体活動レベルを乗じて算出した推定エネルギー必要量は、肥満者は真のエネルギー必要量より大きく、るい痩者(痩せ)では真のエネルギー必要量より小さい可能性があることも解説されています。



 基礎代謝に乗ずる身体活動レベルについては下記表のとおりです。

 


 1月後期から2月後期までの栄養歳時記では推定エネルギー必要量を算出するまでのアプローチを掲載しました。
 佐々木敏先生の研修を受けて、最後に算出される数値より、算出されるまでの色々な研究が大切だと感じ、また佐々木敏先生のご意向も数値より数値が算出される根拠の部分をよく理解することが大切となさっています。

 日本人の食事摂取基準2015年版に、参考表としてに掲載された推定エネルギー必要量の表を掲載して終わりということも可能でした。
 私としては、膨大な資料から推定エネルギー必要量をの数値算出まで一貫して貫かれた「累積された科学的根拠を用いる」という基本的な考え、またそのために使用された「メタ・アナリシス」を僭越ながら敬意を示しながら抜粋し、皆様に日本人の食事摂取基準を策定した先生方のご苦労とご努力を垣間見て頂きたかったのです。

 次回の栄養歳時記は、エネルギー産生栄養素バランスです。